本当の「いい人」になる必要はない
現代社会において「いい人」とは、人格が優れている人のことではない。むしろ、他人にとって都合のいい存在として「誤解される」ことこそが、生きやすさを最大化するための戦略になる。
それが岡田斗司夫が提唱する「いい人戦略」だ。
この戦略の本質は、「本心とは関係なく、合理的に人間関係を操作する」ことにある。
スキルの価値が下がり、「人柄」が武器になる時代
世界の最先端企業、たとえばGoogleやMeta（旧Facebook）では、いまや「good-natured person（好人物）」を最も重視して採用している。
理由はシンプルだ。高度なスキルは世界中に溢れており、リモートワークによってどこからでも調達可能だから。
だが、職場で摩擦を起こさず、周囲と協調できる人間は、替えがきかない。
だからこそ、本社に残るのは「能力が高い人」ではなく「問題を起こさない人」なのだ。
損をしない「いい人」の特徴
一流の「いい人」は、感情的にならず、反応も上品。
そして何より重要なのは「損切りが早い」という点だ。
メリットがない人間関係からは、悪印象を与えることなく静かにフェードアウトする。
これは決して冷酷な行為ではない。むしろ、感情に振り回されずに自己保全を優先する「知的な防衛本能」だ。
「戦略としての誤解」が最もコスパがいい
本当の人格者になるのは難しい。
でも、「いい人に見えるふるまい」をインストールするのは誰にでもできる。
そして何より、この戦略の魅力は「実はバレない」という点にある。
人は他人をそこまで深く観察していない。表面的な印象が全てを決める。
だからこそ、表面を整えるだけで得られる信頼と好感は、コストに見合わないほど大きい。
スルースキルが最大の武器
この戦略を機能させるには、「問題を持ち込まれない立ち位置」を保つことが不可欠。
そのためには、他人の揉め事やトラブル、批判合戦からは早めに手を引く必要がある。
争いが始まりそうになったら、悲しそうな顔をして「ちょっと手に負えないなぁ」で十分。
正義を振りかざすのではなく、静かにその場を離れることで、むしろ「知的な大人」に見える。
「本当のいい人」は尊敬しつつ、真似しない
たまに、本当に誠実で真面目で、他人のために尽くすような“本物のいい人”がいる。
彼らは尊敬に値するが、真似をするのは危険だ。
なぜなら、社会的には「偽物のいい人」の方が生存率が高く、回避行動が取れるから。
本物は損を背負い込むが、戦略的な偽物はうまく立ち回る。
嫌な人になる努力をやめるだけで人生は変わる
多くの人は無意識に「嫌な人戦略」を取ってしまっている。
・他人の欠点を指摘する
・求められてもいないのに改善点を提案する
・陰で批判や愚痴を言う
・ネガティブを垂れ流す
これらは一見、賢さや正しさの表現に見えるかもしれない。
だが、周囲から見ると単なる「扱いにくい人」になってしまう。
おならのように否定を口にする人間は、次第にミュートされ、会話からも人間関係からも外されていく。
結局、「バカなふり」は最強の戦略
「頭は悪いけど、いい人だよね」
このポジションは最強だ。実際、頭が良さそうに振る舞う人よりも、何倍もモテるし、可愛がられる。
しかも、困ったことが起きても「まぁアイツはあれだから」で許される余白まで得られる。
賢さをアピールするのではなく、あえてバカに“誤解”されることで、人間関係は圧倒的にうまくいく。
成功者にはぶら下がれ
日本社会は今後、「東南アジア型」に移行していく。
かつてのように、全員が独立して成功を目指すモデルは終わった。
偶然成功した少数の人に、いかに上手く“ぶら下がるか”が重要になる。
成功者は、地域社会の共同資産だ。
彼らを批判するのではなく、賞賛し、気持ちよく活躍してもらうことが、最終的には自分の利益にもなる。
まとめ
いい人戦略とは、「本物の人格者になる」のではなく、誤解されることを恐れずに戦略的に演じること。
・共感する
・褒める
・応援するフリをする
・忘れる
この4つを実践し、「嫌な人」になる努力をやめるだけで、人生は静かに好転していく。
評価経済・人口オーナス時代における合理的な生存戦略として、
ぜひこの「いい人戦略」を日常に取り入れてほしい。
