ある問いが話題を呼んでいる。
「AIに仕事を奪われると分かっている職業を、今から目指すのは間違いなのか?」
この問いは、ある若い女性からのものだった。彼女はネイリストになりたいと考えているが、過去に発表された「10年以内に消える職業リスト」にネイリストが含まれていたことに不安を感じ、進路の再検討を迫られている。
このシンプルで切実な問いに対して、ある識者は明快に答えている。
「不利になる」ことと「やめるべき」は別の話
まず第一に、将来的に不利になる職業であることと、それを目指してはいけないということはまったく別である。AIが台頭し、社会構造が変化していく中で、多くの職業が「非効率」と判断され、リストラされていくのは避けられない。
しかし、それは「やる意味がない」こととイコールではない。むしろその中で、自分自身が「本当にやりたい」と感じるなら、その選択には大きな価値がある。
トップとボトムしか生き残れない時代
問題は「平均点」だ。中間層の技術や実力では、もはや職業として成立しにくくなっている。
これからの時代は、以下のような構造になる。
ポジション | 生存可能性 | 特徴 |
---|---|---|
トップ層 | 高い | 圧倒的な技術・個性・影響力を持つ |
中間層 | 低い | 代替されやすく、AIや動画解説で習得される |
ボトム層 | 残存可能 | コスト面や個別対応でニッチな需要を満たす |
つまり、ネイリストに限らず、料理人、アニメーター、ライター、声優、イラストレーターなど、いわゆる“クリエイティブ職”とされる業界の多くがこの構造に入っていく。AIは平均値を出すのが得意なため、「普通の人」は淘汰される。
「やる意味」を自分の中に見出せるかが鍵
それでもなお、その職業を選ぶことが無意味ではない。
好きだから、心が燃えるから、没頭できるから。そういった理由で選ぶことができる人間は、必ずトップかボトムのどちらかに自然とシフトしていく。
そしてトップを目指すのであれば、最初から「不利であること」を前提にした戦略設計が必要だ。
例えば:
- 技術だけでなく「世界観」を売る
- SNSでのファンベース構築を重視する
- 独自のサービスモデルを作り、比較されない土俵で戦う
- コンテンツやノウハウを動画や教材として展開し、知識資産にする
これらはすでに、トップ層のクリエイターたちが行っている動きでもある。
結論:AIに奪われるから諦める、という発想が時代遅れになる
今後、多くの職業が「消える」ように見えるだろう。しかし本当に消えるのは、「機械に負けるような熱量でその仕事に向き合っていた人」たちだ。
熱意と工夫と学びを止めない限り、その仕事は「AI時代だからこそ、逆に価値が出る」ものになり得る。
必要なのは、変化に順応しながら、自分の存在意義を作っていくこと。
諦めるか、燃やし続けるか。
それを決めるのは、テクノロジーではなく、自分自身だ。