飲食店の共同経営は、なぜうまくいかないのか

共同経営。それは、独立の夢を手早く現実に変える最短ルートのように見える。

「料理は任せろ」「接客はオレに任せろ」「資金を出し合えば、すぐにでも開業できるじゃん」
そう考えて店を立ち上げた二人組が、数年後には口も利かなくなっている。

なぜか。それは「対等」の幻想にすべてが詰まっている。

共同経営は“平等”の仮面をかぶった不公平

現実の店舗運営はシビアだ。
・仕込みで毎晩残業が続くA氏
・クレーム対応を一手に引き受けるB氏
・売上が落ちても給与は折半
・労働時間も、責任も、全然違うのに収入だけは同じ

最初の数か月はいい。だが半年、一年と経つうちに、「なんでオレだけ…」が互いの心を蝕み始める。

「あいつ、最近楽してるよな」と思った瞬間が終わりの始まり

共同経営で最も怖いのは、相手への“信用”が“監視”に変わること。
・今日は何時に出勤したか
・どこまで動いていたか
・本当に忙しかったのか
・なんで今日は先に帰ったんだ

「許せる」と思っていた差が、「不満」に変わる瞬間がある。そこからは早い。目が合わなくなる、LINEが業務連絡だけになる。最終的には、スタッフの前で会話すらしなくなる。

スタッフは迷い、やがて派閥が生まれる

二人のトップがいる現場では、従業員は必ず迷う。

・どちらの指示が正しいのか
・言っていることが矛盾している
・どちらに報告すべきか
・評価基準がバラバラ

そのうち「店長派」「料理長派」に分かれる。
意図せずして、現場が分断される。空気は重くなり、離職者が出始める。

「自分の店ではない」と気づいた瞬間、やる気は死ぬ

誰もが「自分の理想の店を持ちたい」と思って独立を目指したはずだ。だが共同経営は、自分の想像の50%しか実現できない。看板、内装、制服、接客スタイル、メニュー、営業時間、価格設定。あらゆるものが妥協と譲歩の産物になる。

そしてある日、ふと気づく。「これはオレの店じゃない」

その時点で、やる気は死ぬ。

「別れよう」が即、惨烈の入り口

共同経営が壊れるとき、それは苦慮の幕開けでもある。

・辞めるのはどっちか
・借金は誰が背負うのか
・内装や設備はどう清算するのか
・残った方が従業員をどうまとめるか

最悪のケースでは、裁判に発展する。それまでの友情もキャリアも、すべてが灰になる。

結局、共同経営とは「逃げ」の選択である

資金が足りないから
一人じゃ不安だから
開業を早めたいから

そういう理由で始めた共同経営は、ほぼ確実に崩壊する。覚悟がないまま、責任だけを分け合おうとする構造は、長く持たない。

終わりに

うまくいっている共同経営者は存在する。だがそれは、極端に相性が良いか、明確な上下関係が最初から決まっているケースだけだ。「仲がいいから」「気が合うから」そんな理由で店を持とうとしているなら、その相手は、本当にビジネスパートナーとして信じられる人間なのか。それとも、単なる“独立への近道”なのか。

本気で独立を目指すなら、一人で立つ覚悟を持て。それができないうちは、まだ独立すべきではない。

参考文献
https://note.com/ta_su_ku/n/n03ca07626501
https://note.com/think_kota/n/n87aa2f86e2ca
https://el.jibun.atmarkit.co.jp/noriwo_t/2015/04/post-5f9a.html
https://tameni.mynavi.jp/column/6360/
https://www.php.co.jp/php/topics/konosuke/article-38294.php
https://www.unisiacom.co.jp/blog/5268/

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