催事営業の全貌:施設側の意思決定プロセスと、出店を勝ち取る提案戦略

ポップアップやイベント催事といった「短期出店」の成功には、魅力的な商品やブランド力だけでは不十分です。重要なのは、商業施設側がどのように出店を決定しているか、その仕組みを深く理解すること。そして、その構造に合わせた提案ができる営業だけが、確実に枠を取り、繰り返し呼ばれる存在になっていきます。

この記事では、百貨店・駅ビル・ファッションビルなどにおける催事出店の判断構造と、それに対する営業戦略を体系的に解説します。

商業施設における出店判断の構造と流れ

ひと口に「催事営業」といっても、施設側には独自の編成ルールと社内決裁のプロセスが存在します。ここを理解せずに提案をしても、タイミングや内容がズレていては通るものも通りません。

施設の基本構造と担当者の役割

多くの商業施設には、催事専任の担当者が在籍しています。

  • 「催事担当」「リーシング担当」「営業チーム」などと呼ばれる
  • 複数エリアや時期を同時に見て、編成・管理を行う

この担当者が営業窓口となり、提案内容の初期選定から、社内稟議、編成会議へのプレゼンまでを一手に引き受けています。

出店判断のための内部プロセス

営業(催事担当)が候補を収集

  • 自主的にリサーチ、または過去の実績や問い合わせ
  • 外部からの営業の提案もここで受け取る

企画・編成の検討

  • 施設全体の「MD(マーチャンダイジング)構成」に合っているか
  • 季節性・ターゲット層とのマッチング、他催事とのバッティング確認
  • ブランドイメージ、価格帯、ビジュアル訴求力も重要

内部プレゼン・稟議

  • 担当者が上長や編成責任者にプレゼン(稟議書を作成)
  • 出店料、什器使用、電源・水道・冷蔵の有無などを含めて審査
  • 百貨店の場合、1ヶ月〜数ヶ月先の編成会議で一括決定されることもある

可否の決定・スケジュール調整

  • 施設の「催事カレンダー」に沿って空いている場所と時期を調整
  • 施設のプロモーションスケジュールとの兼ね合いも考慮

契約・資料提出・運営詳細のすり合わせ

  • 契約書、反社チェック、商品リスト、装飾案、売上報告方法などの整備

出店を勝ち取る営業が押さえるべき4つの戦略

施設側の内部構造を正確に理解した上で、営業としてどう提案を行うか。その鍵となる戦略を4つに整理します。

担当者が「社内で通しやすい」提案を用意する

担当者は営業の代弁者であり、社内でプレゼンを行う立場にあります。つまり、あなたの提案は彼・彼女が社内で勝てる資料になっているかがすべてです。

特に効果的な情報は以下のとおり:

  • 他施設での具体的な売上実績
  • 顧客属性のデータ(男女比、年齢層など)
  • SNSフォロワー数やPR事例
  • 自社什器で運営できるなどの省コスト性
  • 季節キャンペーンや館イベントとの親和性

提案書は、数字やビジュアルを組み合わせ、「判断材料としての強度」を持たせることが重要です。

稟議スケジュールを逆算して提案を入れる

出店可否は、施設ごとの稟議・編成スケジュールに強く影響されます。
例えば「毎月20日に翌々月分を確定する」施設であれば、それより前に提案が届いていなければ即アウトです。

稟議のサイクルは毎月固定していることが多く、各施設の傾向を事前に確認・記録しておくと、提案の精度が劇的に向上します。

施設ごとのMD傾向・好みを把握して提案内容を最適化

施設にはそれぞれ、以下のような「無意識の選好」があります:

  • 得意とする価格帯やターゲット層(F1層、ヤング層、高価格帯など)
  • NGとなる業態(例:においの強い食品、現金商売など)
  • リピート率の高いカテゴリ(焼き菓子系、和雑貨、韓国コスメなど)

提案前に過去出店ブランドやSNS公式アカウントをチェックし、そこからトレンドや傾向を読み取るだけでも、提案の説得力が増します。

担当者が「この出店を通したい」と思える動機を与える

最後に重要なのが、担当者の感情的モチベーションです。
人はロジックだけではなく、「自分が社内で評価されそうかどうか」で動く場面が多くあります。

  • 「〇〇駅ビルで3日間100万円以上売れたブランド」
  • 「SNSフォロワー5万人、Z世代への認知が強い」
  • 「省スペース・什器持込で運営負荷ゼロ」

こうした“担当者にとってのメリット”を明示できれば、「ぜひこのブランドを通したい」と思わせるきっかけになります。

総まとめ:催事営業を成功に導く構造理解と行動指針

視点内容
意思決定構造担当者+編成責任者(稟議フロー)
出店判断基準MD整合/季節性/集客力/運営負荷
提案資料の要件実績・ビジュアル・担当者が説明しやすい構成
提案タイミング稟議スケジュールを把握し、逆算して提出
担当者の心理「これを通したら評価される」と感じられる材料を与える

おわりに

催事営業の本質は、施設側の判断構造に深く寄り添い、的確な情報とタイミングで価値ある提案を届けることに尽きます。表層的な「お願い営業」ではなく、担当者が自信を持って社内に通せる、理詰めかつ魅力ある企画を準備する。そこに勝機が生まれます。

施設に「また出てもらいたい」と言われる営業とは、仕組みと心理の両方に精通した存在です。
そのポジションを取れるかどうかが、催事営業の成否を分ける最大の要因となるでしょう。


Home » uncategorized » 催事営業の全貌:施設側の意思決定プロセスと、出店を勝ち取る提案戦略