無意識を活用すれば、努力や根性に頼らず、現実が変わりはじめる。苫米地英人は、その脳のメカニズムを科学的に解説する。「意識していない=無意識」というシンプルな定義が、すべての出発点になる。
目の前の風景を見ること、椅子の感触を感じること、呼吸をコントロールしていること。こうした日常の体験は、ほとんどが無意識に支えられている。人間の行動の大半は、自分で意識していない処理の連続で成り立っているのだ。
超並列処理を行う無意識の力
苫米地によれば、無意識は「同時に複数の問題を高速で処理できる」という点において、意識よりも遥かに優れている。
何かの課題に悩んでいたとしても、ふとした瞬間にアイデアが湧いてくるのはその証拠だ。考えるのをやめた後も、脳の奥底では無意識が処理を続けてくれている。
意識的な思考よりも、無意識の方がクリエイティブだという事実を知るだけで、思考の構造は変わる。やる気が出ないときでも、目標さえあれば、無意識は自動的に解決に向けて動いてくれる。
クリエイティブアボイダンスの罠と逆活用
無意識は万能だが、誤った方向にも働く。
たとえば「やりたくない仕事」があった場合、無意識はその“やらない理由”を徹底的に探し始める。これが苫米地が指摘するクリエイティブアボイダンス(創造的回避)だ。
しかしこの力は、正しく使えば逆向きに活用できる。つまり「やりたいこと」に対して無意識が自動的にルートを発明し始めるということだ。達成方法がわからなくても、無意識は探し続けてくれる。
ゴール設定は現状の外側に置け
無意識を活性化するカギは、ゴール設定にある。
しかもそのゴールは、現状の延長線ではなく、現状の外側に置く必要がある。無理そうな目標であっても、無意識はその達成方法を自動的に探り始める。それが「Invent on the way」という考え方だ。
人間の脳は、整合性のある構造を自動的に組み立てようとする。この性質を活用すれば、ゲシュタルト(認識の枠組み)を一度破壊し、新たな高次の構造を築くことができる。
無意識が働きやすい状態をつくる
無意識は、ベータ波ではなく、アルファ波やシータ波が優位な状態で活性化しやすい。
つまり、リラックスしながらも覚醒している「瞑想に近い意識状態」が理想だ。苫米地の音源は、その状態に導くために設計されている。
この状態を日常的に確保できれば、無意識はより深く働き、より速く結果を出すようになる。
無意識は最強のパートナーである
無意識は、努力をせずに成果を出すための最強の味方だ。
ただし、使い方を間違えれば逆効果にもなる。
重要なのは、正しいゴール設定、正しい意識状態、そして「信じて任せる」姿勢だ。
脳の無意識領域は、あなたの思考以上に賢く、早く、正確に働いている。
だからこそ、無意識を敵ではなく味方につけた者だけが、本当の意味で「努力なくして成果を得る人生」を実現できる。