催事出店の企画書はどう作る?商業施設を動かす提案資料の構成法

商業施設での催事出店を成功させる鍵のひとつが、「企画書の質」です。
出店希望者は多く、施設側はその中から“選ぶ”立場。だからこそ、「読み手の目線」で構成された企画書が必要です。

本記事では、催事出店を検討する和菓子屋・地域特産品業者・POPUP事業者などに向けて、商業施設担当者に刺さる企画書の作り方を、実例に基づいてご紹介します。

企画書とは「信頼の先出し」である

まず大前提として、企画書は「売り込みツール」ではなく、「信頼を獲得する文書」であるという視点を持つことが重要です。
華やかなデザインや勢いのある言葉以上に大切なのは、

  • どれだけ「相手(=商業施設)」の立場で設計されているか
  • 自社の提供価値をわかりやすく、誠実に伝えているか

という点です。

「この業者なら、ちゃんとやってくれそう」
「うちのモールにも合いそうだな」

そう思ってもらえるかどうか。それが、企画書の勝負どころです。

催事企画書に入れるべき9の構成要素

催事提案の企画書は、以下の9つの要素で構成されていると、商業施設担当者の目に留まりやすくなります。

表紙(タイトル・キャッチコピー)

最初の1ページで「お、見てみようかな」と思わせられるかが分かれ目です。
・例:「昭和ノスタルジーで親子を笑顔にする“◯◯(屋号)”催事企画」

ご提案内容のご紹介(アジェンダ)

読みやすさを高めるため、目次的に企画書全体の流れを示すページです。
資料の構造が見えないと、いくら中身がよくても途中離脱されてしまいます。

商業施設に求められている役割(現状の理解)

「あなたたちの施設が担う社会的・地域的な意義を理解していますよ」というアピール。
以下のような言葉を用いると効果的です:

  • 地域コミュニティの場としてのモールの役割
  • ファミリー層・シニア層・学生など多様な来場者への価値提供
  • 非日常を演出する“目的来店型イベント”の必要性

事例データがあるとさらに説得力が増します。

現場で感じられている声・お悩み(課題の抽出)

商業施設側が暗黙的に抱えている“課題”を言語化してあげましょう。

例としては:

  • 平日午後〜夕方のフロア回遊率の低下
  • 飲食・衣料品以外でのファミリー層訴求の手詰まり
  • 「体験型」コンテンツ不足による差別化困難
  • SNS拡散に繋がる“映える”企画の欠如
  • 地域密着イベントの担い手不足
  • 子ども向け施策がフードコート周辺に集中しがち
  • 高齢者層への文化的価値提供が限定的
  • 冬季・夏季の“屋内滞在施策”が単調になりがち
  • モールの“パーソナリティ”を打ち出す企画不足
  • SDGsや地域連携に繋がる持続性のある企画ニーズ
  • 曜日別・時間別の“谷時間”活性化策の不足
  • 出店者側のオペレーション品質のばらつき

「◯◯(屋号)」が提供する価値(提案の全体像)

ここで初めて「自分たちの話」に入ります。
一言で「この企画は何を解決し、誰に何をもたらすのか」を示します。

例文:

「“懐かしさ”を軸にした非日常体験で、親子の滞在時間と購買率を向上させる催事です」

催事ブースの構成と特長(内容の詳細)

ここでは写真・図解を活用しながら、出店の実際のイメージを具体化します。

盛り込むべき要素:

  • 写真付きのブース構成(什器・装飾・動線設計)
  • 商品ラインナップの一部紹介(価格帯・見た目の魅力)
  • 運営体制(スタッフ常駐・補充タイミングなど)
  • 子ども向け仕掛け(くじ・体験コーナーなど)
  • 回遊・滞在を促す仕組み(動線の工夫など)

また、「赤提灯・のれん・木箱・昭和POP」など、世界観演出がある場合は強調しましょう。

実施スケジュール(設営〜撤去まで)

施設側が一番気にするのが“段取り”です。
以下のように、簡潔な表またはタイムラインで示すと親切です:

  • 設営:初日AM9:00〜11:30
  • 開催:11日間(10:00〜21:00)
  • 撤去:最終日21:00〜翌日AM

施設のオペレーションに配慮した設計を見せることで、安心感を与えられます。

当社の対応範囲とお願い事項(体制と役割)

トラブル防止の意味でも、「誰が何をするのか」を明文化しておくことは重要です。

例:

項目出店者側対応商業施設側対応(お願い)
設営・撤去全て当方にて対応します設営時間・車両搬入の許可
備品・什器の持ち込み自社備品を持参・持ち帰り電源使用・通路通行許可など
廃棄物回収基本持ち帰り対応一部施設ゴミ出し可否の確認

出店条件・過去実績(費用と条件)

  • 売上目標や過去実績(例:10日間で225万円)
  • レベニューシェアや固定費の希望条件
  • 出店料支払いスキームなど

あわせて「1日平均売上」「客単価」「来場者数の変動要因」などの補足情報もあると非常に信頼度が上がります。

導入による期待効果とお願い(まとめ)

最後に、改めてこの催事が施設にもたらす**“導入メリット”を要約**します。
加えて、トライアル提案・短期テスト導入の呼びかけも効果的です。

例:

・ファミリー層の回遊性向上
・思い出コンテンツとしてのSNS投稿促進
・“地域の顔”としての施設ブランディング効果

ぜひ一度、小規模なトライアルでもご検討いただけましたら幸いです。

まとめ:読み手を“動かす”企画書に共通する3つの視点

  • 相手(商業施設)の立場に立った構成になっているか?
  • 感情ではなく“根拠”で安心感を伝えているか?
  • 視覚で理解できる写真や構成図が盛り込まれているか?

この3つが満たされていれば、企画書は単なる書類ではなく、**「提案力そのもの」**として機能します。

Home » uncategorized » 催事出店の企画書はどう作る?商業施設を動かす提案資料の構成法